自然観察のすすめ

（2001/05/05）

自然観察がすぐれているところ

　ほかの趣味と比べて、自然観察のどんなところが優れているかを挙げてみました。

□予備知識がほとんどなくても始められる。しかも、奥が深くて終わりがない。
　自然観察を始めるのに、たいした知識はいりません。ルールがあるわけではないし、特別な道具を使うわけでもありませんから。必要なのは、自然の中には（よく見さえすれば）面白いことがたくさんあるととりあえず信じることと、よいガイド（案内人）あるいはやさしいガイドブックだけです。
　始めさえすれば、楽しんでいるうちに興味も知識も増えていきます。そして大事なことは、自然観察にはゲームオーバーがないということです。どんなに経験を重ねても、面白いことが尽きてしまうことは決してありません。自然の複雑さや巧妙さと比べたら、人間ができることはごく限られているのです。もちろん、蓄えた知識や経験が古くなって役立たなくなることもありません。

□どこでもできる。しかも、場所が変わればちがった楽しみがある。
　身の周りにも（小さくても）自然はあります。そこでも、いろいろな生物がさまざまな戦略で生きています。自分の庭でも近くの道端でも、自然観察はできるのです。
　場所が変われば自然のようすも変わります。気候や環境が違うと生き物の種類も変わるからです。別の場所には別の楽しみがある、自然観察の大きな魅力です。

□時間がなくてもできる。時間があれば、さらにたくさん楽しめる。
　時間がたっぷりあるに越したことはありませんが、無いなら無いで、それなりの楽しみ方ができます。ミクロからマクロまで、自然は多重構造なので、どのような規模の楽しみ方も可能なのです。

□体力がない人も、あり余っている人も、それぞれに応じた楽しみ方ができる。
　近所で自然の変化を楽しむ方法もあれば、遠方へ珍しい自然を尋ねていく楽しみ方もあります。また、１箇所で詳しく観察することもできるし、歩き回って違いを観察することもできます。年齢や体力によって、いろいろな楽しみ方を選べるのです。

□お金がかからない。しかし、お金をかけたければ、かける意味があるところがある。
　高価な道具は不要だし、どこででも楽しめるので、お金はほとんどかかりません。でも、お金が余って困っている人は、高価な機器を買ってもいいし、外国へ自然観察旅行に行ってもいいし、使い道には困らないでしょう。

自然観察の効能

　自然観察を趣味にするとどんなよいことがあるかというお話です。

□ひまを持て余すことがなくなる。
　どこでも、ちょっとの時間でも、お金がなくても楽しめるので、なにもすることがなくて退屈するということはなくなります。

□精神的なバランスがよくなる。
　自然をトータルに見るようになると、他のことにも偏見が少なくなります。自然は我々人間にとっても基盤なのです。そのことが精神を安定させるのだと思います。なんたって「自然」と言うぐらいですから。

□肉体的にも健康になる。
　言うまでもないと思いますが、自然の中でよい空気を吸って動き回れば、体調はよくなります。精神的に安定することも、おおいに関係していると思います。

□知識が役立つ（こともある）。
　自然についての知識や自然から学んだ知識が、生活や仕事に役立つことがあります。すぐに古くなるハイテクなどの知識と違って、自然についての知識は一度身につけたら一生使えるという点がいいのです。

□時間のものさしができる。
　自然には毎年の繰り返しがあります。さらに日本には四季があります。その繰り返しを楽しんでいると、生活にリズムが生まれます。年をとるにつれて時間が経つのが速くなったと言う人が多いのですが、自然を見つめているとそういうことはありません。（だからといって、できることが増えるわけではぜんぜんないのですが。）

自然観察の困ったところ

　よい点ばかり強調して悪いことをひとつも書かないと、なにか都合の悪いことを隠しているんじゃないかと考える人がいるかもしれませんので、自然観察の困った点も一応書いておきましょう。

□自然観察ができないと、落ち着かなくなる。
　個人的には、これにいちばん困っています。初めての場所へ行ったときは、そこの自然をまず観察しないと落ち着きません。ところが仕事で他の人と一緒に行った場合などは、その時間が無いことが多いものです。車の窓から珍しそうな植物や鳥などが見えるたびにイライラが募ります。

□変人と見られることがある。
　大の大人が子供のように自然に熱中することは、一般の人には理解されないようです。。たしかに、道端にしゃがみこんで虫や草花をしげしげと見ている姿は、知らない人から見れば、変かもしれません。この趣味が認知されるようになれば、偏見も無くなると思うのですが。（この問題に対処するノウハウがあります。そのうちに紹介しましょう。）

□金持ちにはなれない？
　自然の面白さと素晴らしさを知ると、俗世的な欲望はどうでもよくなってきます。お金なんか必要最小限あればいい、なんてね。私だけかとも思いましたが、自然観察が趣味の知人にもお金持がいないところをみると（小金持ちはいますが）、たぶん本当でしょう。
　お金持ちの中にも自然相手の趣味を持つ人はいますが、トータルに自然を見るのではなくて、一点に集中している人が多いようです。
　まあ、こちらはお金はなくても、心はリッチですよ。

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